丸白音狐の覚え書

司法試験の法律科目演習本の感想とか、勉強方法とか書いていくにゃ

「ロープラクティス民法Ⅱ」43~50

 第1回目のブログは、民法演習本として有名な「Law Practice民法Ⅱ債権法」です。

 

 どっこいところが、大学の図書館に第2版がなかったので、

今回、というかしばらくは初版の問題を解いて、感想書きます。

 意味あるのか?ww

 

 忘れるところでしたが、内容の検討はしません。あくまで、司法試験を受験した人間の“感想”です。

 

No.43 不法行為責任の成立要件

 問題文の長さは、長くもなく、短くもないという感じでしょうか。

 一度基本書を読んだうえで解くには、知識の定着具合を測るにはちょうどいいレベルだと思います。

 

 良いなぁ、と思ったのは解説ですね。

 

 まず、問題の所在がわかりやすい。

 

 次に、短いながらも簡素かつ必要な説明をしてくださっていると思います。

点が付くところ、つまり書くべき要所を端的に指摘されていて、論文の書き方の勉強にもなると思います。

 

 また、論文試験で問いやすい事項まで解説されており、復習として、また重要箇所を知るうえで大変参考になると思います。

 

No. 44 不法行為責任の効果:損害

 法律構成を過不足なく説明されています。

 メイン論点となる構成のみ解説し、原則的な構成を落とすような癖をつけさせる演習本とは違います。

 

 

 次に、関連問題が重要判例を基礎としたもので良質だと思います。

 解説はないので、自主ゼミで検討するといいと思います。

 他の関連問題もそうですが、基となっている判例の事案を押さえ、規範と事実への適用を理解するといいと思います。論文試験や択一試験で問われる可能性が十分にある大切な判例です。

 

 

No45.不法行為責任の効果:過失相殺

 

  問題文は平易なものとなっています。

が、その分知識の正確性が問われます。良問です。

 問題文に上がっている事実を、適切にあげられているか、適切に評価できているか。解説は事実評価の参考となります。

 

 また、この問題の関連問題も、非常に重要な判例を基にしています。

 

No.46 名誉毀損・プライバシー侵害

 類似した判例を区別できるように解説がなされています。

 これらの判例は、論文としても問いやすいものです。

 特に、名誉毀損については近年の重要判例解説で新判例が紹介されましたので、論文で問われやすいかもですね。もしかしたら、第2版で新判例について加筆されているかもしれませんね(^^;)

 

 ただ、解説が簡単にまとめすぎかな、もう少し詳しく説明してくれもいいかな、と思うところがあります。

 規範を導く理由について言及してもらいたかったですね。それとも、規範の適用、事実の評価さえできれば十分ということなのでしょうか?

 

No.47 使用者責任

 問題の所在が丁寧に解説されていると思います。

 

 ただ、論点が気づきにくいですね。

 これは、私が勉強不足で気づけなかっただけかもしれません。なぜかならば、理論的に考えれば当然問題となるべきことだからです。

 では、なぜ気づけなかったのか。それは、要件事実のブロック構造で考えると、問題とならない論点だったからです。

 ブロック構造は実体法の解釈が前提ですから、知識が誤っていただけなのかもしれません。

 どうぞ反面教師にしてください。

 

 次に、使用者責任判例が蓄積されていますので、基本書に載っている限りのものは確認しておくといいです。

 本書の解説では、少し物足りないかもしれません。

 

No.48 工作物責任

 学説の対立、相違が解説されています。

 個人的な意見ではございますが、論文は基本的には判例の見解に従って書くべきなので、学説の反対説を深く勉強する必要性はないと思っています。

 

 しかし、ここでの解説は一見の価値があります。

  

 反対説を知ることで、自説の評価の方向性が明確になるからです。

 判例の規範を上げながら反対説のような事実評価をすることは、印象は良くないですね。そこを明確に意識させてくれるような解説です。

 

 「工作物責任が問われたときは、こうやって事実を評価しよう。こういう評価をしないように気を付けよう」 

 

 と、一度意識したことがあるかないかで論文のキレは変わると思います。

 

 

No.49 共同不法行為

 学説の解説でした。

 

 問題の具体的な検討は少なく、解説としては中途半端だなぁとの印象です。

 

 これなら、基本書を読んだ方が力が付くと思います。

 

No.50 製造物責任

 法律構成が漏れなく紹介されています。

 類似の問題が出たとき、書くべき構成を知るには参考になります。

 

 ただ、問題文の事実が持つ意味については、あまり解説されていなかったです。

製造物責任の紹介がされている、という感じです。

 問題文の事実が、どの要件にむかって、どのように評価されるのか、そこを解説していただきたかったですね。

 そうでないと、製造物責任の規定を適用する方法がわかないままですから。

 

 製造物責任の条文を確認し、典型例を知っていればOKという意味で、解説の記載が簡単となっているなら、民法の基本書を読む方が良いように思います。

 

 

 

 

 

 

 とりあえず、今回はこれくらいです。

 

 ブログを書く暇がなかなか取れませんが、

現状、「事例研究憲法」「ロースクール演習行政法」を数問解いています。

 次回は、これらの感想を述べていきたいと思います。