「事例演習刑事訴訟法」設問1~設問3
おはこんばんちわ、マル・ネコです。
この演習本は、最初のまえがきが大事です。
教授と学生A、Bとの対話形式ですが、刑事訴訟法の論文のとてもとても大切な話をしています。
この部分だけでも読むことをオススメします。
設問1 任意捜査と強制捜査
解説を見て、思わず一言。
「なんで会話形式??」
といいつつも、会話形式ながら、問題の所在、判例の解釈、事実の持つ意味をしっかりと説明しています。
教授の説明箇所は当然、学生の回答なども「なるほどぉ」と納得のいくものばかりです。
論文に流用できる箇所は多いです。
設問2 職務質問・所持品検査
事例演習刑事訴訟法は、解説は会話形式なんですね。
行政警察作用としての性質を丁寧に解説されています。司法警察作用との対比で説明を受けることで、職務質問の深い理解が可能になるのではないでしょうか。
任意捜査の限界との違いをしっかり理解できる、良い解説でした。
次に、事実の適示、評価が端的かつ十分で、参考になります。
司法試験は適示、評価すべき事実が多く、本解説のような事実の適示、評価の仕方ができるようになれば、得点が増すと思います。
設問3 任意取調べの限界
まず、判断枠組みについての解説がしっかりしています。
任意取調べといえば、そう、高輪グリーンマンション事件ですね。最高裁の読み方をしっかり解説されており、多数の理解のほか、少数有名説の理解にまで言及されています。
「強制の処分」との関係についても解説されており、構造的理解ができるはずです。
そして、任意取調べの限界について、取り調べによって制約される利益、つまり社会通念上相当と認められる方法ないし態様及び限度を判断する際の比較衡量における反対利益が分析されていることが素晴らしいです。
事実評価の方向性がわかれば、答案は書きやすくなりますし、点も付きやすいです。
ただ、違法を基礎づけるのに十分な事実が一つあるので、簡単に終わってしまいそうですね。
まぁ、ホテルに泊めた日数なんですけどね。そんなに長く泊めりゃそら違法だろうさ、って感じです。
もし、その日数が短ければどうなるか、直ちに適法というわけではないでしょう。
その点についても分析してほしいです。欲をいえば、ですけど。
良い問題、良い解説でした。
今回はこれくらいですかね。
「ロースクール演習行政法」第1部問題1~問題3
どもども~、白ネコです。
問題①
出題意図が、司法試験の出題趣旨を意識しており、参考になる良問でした。
基本的な問題なので、あまり話すことはないですね。
問題②
判例の理屈を自ら追うことができるかを問う良問でした。
行政法の問題は判例の理解がものをいうので、判例が法規をどのように解釈したのかをしっかり理解できる問題です。
問題③
行訴法9条2項に従った法令解釈がわかりやすく解説されています。
ただ、「Xの利益が侵害されまたは必然的に侵害されるおそれがある」との要件についてはカットされており、初学者に若干の誤解を与えるかもしれません。
最初の方は基本事項についての問題なので、感想らしい感想もないですね。
基本事項を応用できるよう、しっかりとした理解が大切だと思います。
第2部が楽しみです。
事例で考える刑法<第2版>事例1~事例4
こにゃにゃちわ、真ん丸い猫です。
今回の感想は「事例で考える刑法」です。と言いつつも、できたのは4問だけです。にゃはは。
しかも、第2版です。第3版はまだ図書館に入ってなかったのでww。
事例1
事案は、司法試験に比べれば、短いですね。司法試験に比べて論点の数が少ないので、当たり前ではありますけど。
ただ、論点の質は高いですね。解く価値は十分にあります。
さて、ここからはイチャモンです。
解説の順番は、①故意 → ②不能犯 → ③錯誤 → ④間接正犯です。
ごらんのとおり、主観的構成要件、修正的構成要件、主観的構成要件、客観的構成要件という一般的ではない構成となっています。
この点については、初版の際に学生から意見があったみたいですね。客観的構成要件を検討してから、主観的構成要件を検討するのが通常ではないですか、と。
それに対する筆者の回答は、法律家集団がそうしているからそれに従い検討する、というものでした。
個人的な意見ですが、法律家集団が本当に解説の順番で検討しているのでしょうか?
学生が検証できない理由を述べて、一般的ではない順序で検討することを正当化するのはいかがなものでしょう(笑)
むしろ、故意述べて、実行行為の話をして、それから錯誤を論じるとなれば、正直読み辛いです。
それに、司法試験でその順で述べようものなら構成要件を理解していないと評価されそうで怖いです。
学者なら法律家集団がそうしていると判断できますが、学生、受験生は背伸びせず、一般的な思考で問題を解くべきではないでしょうか。
それに加えて、設定された解答時間は1時間ですが、問題の質的に1時間では解けないと思います。
事例2
基本的ながら、それをきちんと理解しているかを試す良問です。
ただ、やはり解説に小首をかしげざるを得ませんでした。
まず、「この点(公共の危険)が満たされているかを検討する」として「公共の危険」から検討されていまwす。
そうですね。「放火」と「焼損」を認定してほしいですよねww
次に、反対説についてまで詳しく記載されていますが、ここまで必要ですかね?
首都大の前田雅英先生は、「構成要件の解釈に関して判例がある場合は、端的にその立場で書けば良い。・・・・・・ここでは、なぜその規範が出るかということについて、説明はいりません。」と仰られているそうです。
規範導出の理由が要らないのかはわかりませんが、基本的には、規範は判例のそれを使うべきでしょう。
というか、判例に言及したうえで反対説まで書いても、端的に判例の規範を使った場合と得点は対して変わらないと思います。むしろ、その分事実の認定、評価を丁寧に行った方が点は高くつくはずです。
反対説の解説は読み飛ばしても構わないのではないでしょうか。
あと、早すぎた構成要件の実現を解説するのであれば、因果関係、因果関係の錯誤についても言及してほしいです。実行の着手についてだけ論じれば良いというような誤解を与えかねないのではないかと思います。
また、他にありうる構成についても言及して欲しいものです。
事例3
出題者の意図、というか本音が垣間見えます。
たとえば、共謀共同正犯の論述が必要となる問題において、長々と共謀共同正犯の論点を書く学生が多いことを憂いている節の記載がありました。
問題にはなるけど、端的に論じれば足りるものがあることを重々認識すべきだと思いました。
1月から3月まで、LEC、辰巳、伊藤塾の答練、模試を受けてきました。その中で、理論上共謀共同正犯が問題となるけれど、それに使うべき事実が少ないという問題が数問ありました。
長く論じることを求めていない論点というものがあるということなのでしょう。
その点は参考になります。
が、んんっ?と首をひねってしまいたくなる点もありました。
出題者としては、故意も論じて欲しかったようです。しかし、故意を論じるために使う事実が少ないです。いえ、というか反対の結論を導くような事実ではないというべきかもしれません。
つまり、問題文にある事実を使うと、当然に故意が認定されると思うのです。司法試験では、Aという事実からすれば構成要件に当たる、しかしBという事実からは構成要件に該当しないという形で論点が設定されます。
だからこそ、問題提起ができますし、規範を述べて、事実を丁寧に認定、評価しなければならないということになります。
故意を認定できるか微妙な事実が一つあり、他に故意を認定できる事実がある場合、問題提起をして長く論じる必要を感じないのが多数ではないでしょうか?
というか、上記の共謀共同正犯の指摘と矛盾しているように思えてなりません。
故意の認定に関連して、解説は、どうも問題文にない事実を想像して書かせることを要求しているみたいでした。
事実を積極的に付加して論じることは、論点を外す癖になりうるので、危険です。問題文にある事実をすべて抜き出し評価することが、無難な合格答案とではないでしょうか。
事例4
この問題の論述は、比較的良かったと思います。
不真正不作為犯の問題をわかりやすく解説されています。しかも、旧司法試験で受験生通説といわれていた要件を端的かつ正確に批判しており、個人的には正しいものだと思っています。
私も、今年の司法試験では、不真正不作為犯の要件を①作為義務、および②作為義務の違反として論じました。
不作為による幇助も、端的でわかりやすく、適切な解説がなされていました。
ただ、論じ方として、若干司法試験的ではないかもしれないです。
昨年の採点実感を読むと、法益侵害を指摘してから、実行行為、因果関係を論じるのが好ましいように思います。
解説は、学者的論述思考なのかもしれません。
今回はこれくらいです。
解いて問題は少なかったですが、思った以上に長くなってしまいましたね。
「事例研究憲法」初版第1部問題7、同第2部問題5、第2版第2部問題5
こにゃにゃちわ、丸猫です。
第2回は、「事例研究憲法」です。
えーと、ですね・・・・・・何と言いますか・・・・・・・
第2版出てたんですね!?
法科大学院の図書館に初版しかなくて、気づかずに解いてしまいましたww
第2版を知ったのは、設問を2つ解いた後のことでしたとさ。
なので、2問は初版に記載されていた問題、1問は第2版の問題についての感想です。
今回も内容については言及しないようにします。
初版第1部問題7「世界の期限」展示中止事件
事例研究憲法の問題は、司法試験に類似した構成となっており、演習本としては極めて良いものだと思います。
解説もよかったです。
一般的というか、納得のいく説明がなされています。
それに加えて、類似の問題に応用が利く法律構成、思考過程が示されています。
問いやすい問題を内容としているので、ぜひともこの問題は解いていただきたいです。力が付くと思います。
ただ、あてはめが物足りないです。
せっかくたくさんの事実があがっているのですから、重要な事実が何かや、事実の持つ意義についての説明、評価まで示してほしいです。
初版第2部問題5 ヌードサイクリング事件
ユニークな問題でしたww
法律論についてですが、すごく良かったです。象徴的表現、行動を伴う表現について、基本書の行間を埋める、しっかりした論調です。
解説から規範となる部分を抜き出して、類似の問題に応用できるように訓練すると、より一層の力が付くと思います。
そして、事実の抜き出しと評価。
これもよかったです。事実の持つ意味を適切に評価し、法律論の中に明確に位置付けていました。
象徴的表現にまつわる問題につき、具体的な理解ができる良問だったのではないでしょうか。
第2版第2問問題5 マスメディアの選挙報道事件
個人の意見ですが、問題としては良質なのに、解説が少し残念でした。
解説は①原告の主張、②被告の反論、③原告の再反論という形式で構成されています。
一見すると、司法試験の形に従っているように思います。
が、被告の反論が長すぎます。
被告の反論は端的で良い、と採点実感にあります。解説のように被告の反論を長く書き、原告の再反論を私見として書くという風に考えると、おそらく答案として“浮き”ます。
私の解き方ですが、原告の主張はフルスケールの論述とすべきです。
しかし、被告の反論をフルスケールで書くのは、誰もやらないでしょう。要注意です。
ただ、事実の評価は、多角的で良かったです。参考になります。
それに対して、引用されている法律については指摘は十分ではありません。
解説を読んだのち、改めて問題文を読むと「なんで○○法が引用されてるんだ?」と思いました。
この問題については、ゼミを組んで友人たちと意見交換をした方がいいかもしれません。
今回はこれくらいです。
「ロープラクティス民法Ⅱ」43~50
第1回目のブログは、民法演習本として有名な「Law Practice民法Ⅱ債権法」です。
どっこいところが、大学の図書館に第2版がなかったので、
今回、というかしばらくは初版の問題を解いて、感想書きます。
意味あるのか?ww
忘れるところでしたが、内容の検討はしません。あくまで、司法試験を受験した人間の“感想”です。
No.43 不法行為責任の成立要件
問題文の長さは、長くもなく、短くもないという感じでしょうか。
一度基本書を読んだうえで解くには、知識の定着具合を測るにはちょうどいいレベルだと思います。
良いなぁ、と思ったのは解説ですね。
まず、問題の所在がわかりやすい。
次に、短いながらも簡素かつ必要な説明をしてくださっていると思います。
点が付くところ、つまり書くべき要所を端的に指摘されていて、論文の書き方の勉強にもなると思います。
また、論文試験で問いやすい事項まで解説されており、復習として、また重要箇所を知るうえで大変参考になると思います。
No. 44 不法行為責任の効果:損害
法律構成を過不足なく説明されています。
メイン論点となる構成のみ解説し、原則的な構成を落とすような癖をつけさせる演習本とは違います。
次に、関連問題が重要判例を基礎としたもので良質だと思います。
解説はないので、自主ゼミで検討するといいと思います。
他の関連問題もそうですが、基となっている判例の事案を押さえ、規範と事実への適用を理解するといいと思います。論文試験や択一試験で問われる可能性が十分にある大切な判例です。
No45.不法行為責任の効果:過失相殺
問題文は平易なものとなっています。
が、その分知識の正確性が問われます。良問です。
問題文に上がっている事実を、適切にあげられているか、適切に評価できているか。解説は事実評価の参考となります。
また、この問題の関連問題も、非常に重要な判例を基にしています。
No.46 名誉毀損・プライバシー侵害
類似した判例を区別できるように解説がなされています。
これらの判例は、論文としても問いやすいものです。
特に、名誉毀損については近年の重要判例解説で新判例が紹介されましたので、論文で問われやすいかもですね。もしかしたら、第2版で新判例について加筆されているかもしれませんね(^^;)
ただ、解説が簡単にまとめすぎかな、もう少し詳しく説明してくれもいいかな、と思うところがあります。
規範を導く理由について言及してもらいたかったですね。それとも、規範の適用、事実の評価さえできれば十分ということなのでしょうか?
No.47 使用者責任
問題の所在が丁寧に解説されていると思います。
ただ、論点が気づきにくいですね。
これは、私が勉強不足で気づけなかっただけかもしれません。なぜかならば、理論的に考えれば当然問題となるべきことだからです。
では、なぜ気づけなかったのか。それは、要件事実のブロック構造で考えると、問題とならない論点だったからです。
ブロック構造は実体法の解釈が前提ですから、知識が誤っていただけなのかもしれません。
どうぞ反面教師にしてください。
次に、使用者責任は判例が蓄積されていますので、基本書に載っている限りのものは確認しておくといいです。
本書の解説では、少し物足りないかもしれません。
No.48 工作物責任
学説の対立、相違が解説されています。
個人的な意見ではございますが、論文は基本的には判例の見解に従って書くべきなので、学説の反対説を深く勉強する必要性はないと思っています。
しかし、ここでの解説は一見の価値があります。
反対説を知ることで、自説の評価の方向性が明確になるからです。
判例の規範を上げながら反対説のような事実評価をすることは、印象は良くないですね。そこを明確に意識させてくれるような解説です。
「工作物責任が問われたときは、こうやって事実を評価しよう。こういう評価をしないように気を付けよう」
と、一度意識したことがあるかないかで論文のキレは変わると思います。
No.49 共同不法行為
学説の解説でした。
問題の具体的な検討は少なく、解説としては中途半端だなぁとの印象です。
これなら、基本書を読んだ方が力が付くと思います。
No.50 製造物責任
法律構成が漏れなく紹介されています。
類似の問題が出たとき、書くべき構成を知るには参考になります。
ただ、問題文の事実が持つ意味については、あまり解説されていなかったです。
製造物責任の紹介がされている、という感じです。
問題文の事実が、どの要件にむかって、どのように評価されるのか、そこを解説していただきたかったですね。
そうでないと、製造物責任の規定を適用する方法がわかないままですから。
製造物責任の条文を確認し、典型例を知っていればOKという意味で、解説の記載が簡単となっているなら、民法の基本書を読む方が良いように思います。
とりあえず、今回はこれくらいです。
ブログを書く暇がなかなか取れませんが、
現状、「事例研究憲法」「ロースクール演習行政法」を数問解いています。
次回は、これらの感想を述べていきたいと思います。